誰も語らないおまけ菓子「ファミコンスナック」の謎 【ファミコン駄グッズの世界】


◆絶妙なミスマッチ◆

 ファミコンスナックと聞いて「ぱる(※1)」や「あぜ道(※2)」を、思い浮かべるひとは相当なファミコン脳の持ち主である。だが、かつてエスビー食品が販売していたおまけ菓子「ファミコンスナック」のことを思い出した、というひとがいたら心から尊敬しよう。

 それは突然の出来事だった。日本有数のスクウェアグッズコレクター・市長queenさんから一枚の画像が送られて来たのだ。

famicomsnack6_20180711161815f0a.jpg
 ※スクウェア広報誌「Times Square」 1990年春号より


 な、なんだこりゃ!?
 こんなお菓子は初めて見たぞ。

 記事のタイトルにも「あまり知られてないけど」って紹介されてるくらいだから、当時もそんなに有名じゃなかったのかな。

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 ※拡大図


 しかしファミコンのスナックだから「ファミコンスナック」という、ひねり無しのド直球なネーミングもさることながら、耽美な雰囲気の天野絵と「焼きとうもうろこし味」という軽薄なフレーズの絶妙なミスマッチよ!

 ※1:『ポートピア連続殺人事件』に出てくるスナックの名前
 ※2:『たけしの挑戦状』に出てくるスナックの名前



◆唯一のカード◆

 そして、これが市長queenさんが所持しているカード「No.12 フリオニール」である。なんでもこのスナックにはカードがおまけで付いていたらしいのだ。

 (表)
famicomsnack040.jpg


 (裏)
famicomsnack05.jpg

 ただし、30年来のスクウェアグッズコレクターである彼ですら、今のところ確保しているのは唯一このカードのみ。他には、かつてオークションで人形付きのロックマンのカードを目撃したのみだという。

famicomsnack03.jpg
 ※参考画像(aucfanより)
 
 それがこちら。

 おお、これは『ロックマン2』のクラッシュマンだね。カードは『FF』関連だけじゃなかったのか。しかし上に付いている人形はなんだろう。ちょっと謎多めだな(笑)



◆3種類のパッケージ◆

 調査を依頼された私オロチはさっそく、Web上に以下のような記述を発見。引用させてもらおう。

 ファミコンスナック
・昔SB食品で発売されていたスナック菓子。
・FF2のカードがおまけに付いてくるがどちらかというとロックマンやマリオの方が当りやすい。
・私が買うと、やたらフリオニールが当たった。
・なぜかフリオニールのパッケージの奴だけが売れ残っていた(それを買いあさるのは私)。


 なるほど。FFの他にロックマンやマリオのカードが付いていたらしい。

 それにしてもこのFFのパッケージのやつだけ不人気だったとは。いや、分かる気がするよ。この絵(FF2のジャケット絵と同じ)、お菓子のパッケージとしては無駄に目力があるもんね。もし私が鳩だったら一目散に逃げ出すよ……

famicomsnack09.jpg
 ※パッケージより黒い部分の拡大図

 改めてパッケージを眺めてみるとそこには「ファミコンキャラクターカード入り」と記載されており、わかりにくいにも程があるが下の黒い部分は『スーパーマリオブラザーズ3』、『ファイナルファンタジーII』、『ロックマン2』と書かれているように見える。

 カードはこの3タイトルからランダムで当たったのか。発売時期やカードの種類について、もっと詳細を知りたいところだ。



◆エスビー食品さんへ突撃!!◆

 こうなったらダメ元でメーカーへ突撃するしかない、ということで、発売元であるエスビー食品へ問い合わせてみたところ……

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 ※エスビー食品といえばこんなん出てきました。「S&Bスナック佐藤くん」の缶バッグ。

 なんと、後日、ものすごく丁寧な回答が返ってきたのだ。古い資料をわざわざ調べてくれたらしい。ありがとうございます。さっそく掲載の許可をいただいたので紹介したいと思う。

 まずファミコンスナックの商品仕様について。

 【商品仕様】
<ファミコンスナック>
 ファミコンソフトの人気3つのキャラクターセレクト
 50円・100円の2タイプ 計6種類
 「スーパーマリオブラザーズ3」
 「ファイナルファンタジーII」
 「ロックマン2」
・50ファミコンスナック:焼とうもろこし味、50円袋入り
・100ファミコンスナック:うすしお味、100円カートン入り



<スーパーファミコンスナック>
 「マリオとワリオ」1種類
・スーパーファミコンスナック:お好み焼味、100円袋入り


 50円タイプが袋のやつ。100円タイプが箱のやつだね。3種類のタイトルは予想通りだったが、スーパーファミコンスナックってやつもあったとは知らなかった。



◆販売期間と地域◆

 続いて販売期間と地域について。

【販売期間・販売地域】
<ファミコンスナック>
・50ファミコンスナック:西日本 1989年10/20~順次全国へ
・100ファミコンスナック:西日本 1989年10/20~順次全国へ



<スーパーファミコンスナック>
・スーパーファミコンスナック:西日本 1994年6/13~順次全国へ


 『スーマリ3』が88年10月23日、『ロックマン2』が同12月24日、『FFII』が同12月17日リリースであるから、ファミコンスナックの発売がその1年も経ったあとというのが気になるね。お菓子が発売して半年後には『FFIII』がリリースされているし。この1年のズレが「あまり知られてない」とか「売れ残っていた」とかいう証言を残す結果になったのかもしれない……

 ちなみにSFC版『マリオとワリオ』のリリースも93年8月27日なのでスナックの発売はその10ヵ月後になる計算である。



 地域については最初は西日本で販売され、徐々に全国展開していったと読み取れる。



◆おまけカードの詳細◆

 続いて封入カードについても、詳しい話を聞くことができた。

【封入カードの種類】
<ファミコンスナック>
・50ファミコン:キャラクターカード1枚(白カード紙 12種類×3)
・100ファミコン:キャラクターカード1枚(蒸着カード紙 12種類×3)+ゴム人形19種類
 ※蒸着カード紙は白カード紙より、艶や輝きがある。



<マリオとワリオ>
・スーパーファミコン:オリジナル6角メンコ2枚(普通18種類、ゴールド6種類 合計24種類)


 思ったよりは種類が多いな!

 市長queenさんが持っている「No.12 フリオニール」は100円の箱タイプに封入されていた蒸着カードだったようだ。本来ならゴム人形がついていたらしい。たしかにロックマンのカードには何のキャラかよくわからない人形(クッパ?)が付いてるね。

 なお、エスビー食品さん、カードの現物についても「残ってるかもしれない」ということで調べてもらっていたがさすがに無かったという連絡が来た。いやいや、そこまでしていただいて、本当に感謝しかありません。



◆ファミコンスナック求む!!◆

 詳細は判明した。あとは現物である。

 ということで当サイトでは「ファミコンスナック」について、とくにおまけカードや人形ついての情報や現物を求めています。何かご存知の方、持ってるよって方がいらっしゃいましたら、是非、こちらのコメント欄へご連絡ください!!

 スクウェアグッズコレクター・市長queenさんのツイッターアカウント@DynamiTracerでもお待ちしております。



 追記:2018/7/15

 FF2大事典(CLOUD LAND)を運営されている飛雲 様よりファミコンスナックカードの画像のご提供がありました。ありがとうございます!

IMG_0005.jpg
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 これは前掲のカードとはまた別の絵柄のフリオニール。うらには同じように双六も。素晴らしい!


【ファミコン駄グッズの世界】
第1回 幻の早うち練習器「ファミコントレーニングラムネ」の謎
第2回 誰も語らないおまけ菓子「ファミコンスナック」の謎





S&B ゴールデンカレー バリ辛 198g×3箱


orotima-ku1.png夏こそ辛いカレーや!(勝手に宣伝)

[ 2018/07/14 10:44 ] 謎・調査シリーズ | コメント(3)
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幻の早うち練習器「ファミコントレーニングラムネ」の謎 【ファミコン駄グッズの世界】


◆驚きの高額落札 ◆

 先日――
 ファミコンの「ABボタン」が驚きの値段で落札されていた。

【未使用品】1980年代 当時物 コスモス ガチャガチャ ファミコン ABボタン ( 古い 昔の ビンテージ 高橋名人養成ボタン 駄玩具 駄菓子屋 )(ヤフオク!)
kosumosutakahasiyousei0.jpg

 これはコスモスの所謂インチキガチャグッズの一種であり、タイトルに記されているABボタン、あるいは「高橋名人養成ボタン」は正式名称ではない。

 それにしても高額である……
 私は複雑な心境で、オークションが終了するのを見届けていたのだった。



◆コスモスよ永遠に◆

 コスモスマニア御用達の書籍「素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界」に掲載されている台紙コレクションによると、本品の正式名称は「はやうちトレーニングマシン」である。

hayauttitore-ning.jpg
 引用:「素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界 コスモスよ永遠に」( 双葉社/2014年)

 高橋名人を思わせる雰囲気の人物が「あたたたたたたっ」と言いながら連打している絵が、いかにもコスモスらしい味のある仕上がりだ。インチキガチャのくせにプレゼントキャンペーンを開催していたようで、以下のような文言が記載されていた。

 抽選で30名にツインファミコンプレゼント
 応募券5枚一口にして送ってね
 しめきり昭和61年11月30日

 出品物を改めて確認すると、同様の応募券が付されていることから、やはり「はやうちトレーニングマシン」と見て間違いないだろう。この文言から同グッズは少なくとも昭和61年、つまり1986年頃に出回っていたことがわかる。



◆コンプREX ◆

 はやうちトレーニングマシンと言えば、ファミコン駄グッズの一級資料として知られる、まんだらけ発行「コンプREX02」の表紙になっていることにも言及しておきたい。

konpurekkusu02.jpg
 
 本書では「連射ABボタン」として紹介されていた。
 
famicomramne04.jpg

 開始価格1500円となっている。



◆ファミコン早うち練習器◆

 さて、ここからが本題。

 実は私オロチは、このコスモス製「はやうちトレーニングマシン」と非常に良く似たものを所持しているのだが、それがいったいどういう代物なのかサッパリわからなくて困っていたのだった。かつて、フルタ製菓より発売されていた、その名も「ファミコントレーニングラムネ」である。

famikontore-ning04.jpg

 左中央部に「早うち練習器入り」という文字が見えるだろう。

 それがこちら。

famikontore-ning05.jpg

 はやうちトレーニングマシンとの違いは、片方が十字ボタンになっていることくらいだろうか。さっそく取り出してみよう。


famicomramne01.jpg

 何度かボタンを押してみたが、やけにバネが効いており、実物とはずいぶん感触が違った。練習になるかどうか疑問であるが、ストレス解消グッズくらいにはなるだろう……



◆フルタ製菓の回答◆

 こちらが全体像と裏面の様子である。

famicomramne03.jpg
 ※箱の大きさは15㎝くらい

 正直言って当時、売っていた記憶がなく、オークション等の市場で見かけたこともない。それどころか「コンプREX02」をはじめとする資料にも載っておらず、当然、ググっても何も出て来ない。ファミコン人生35年の中で、この1個体にしか巡り合ったことがないくらい、私の中では幻級の一品である。

 ダメ元でフルタ製菓へ問い合わせたみたところ、調べて折り返してくださったのだが、残念ながら社内に資料が残っておらず当時を知る者もいないとの回答だった。まあ、そうだよな、諦めて他のことしてたらスマホが再び鳴ったのだ。
 
 ――実は、わかったことがあったのです。

 さきほど対応してくださったフルタ製菓の担当者さんだった。話によると、この商品は1987年に100円で売っていたものらしい。たったそれだけのことあるが、わざわざ再連絡してくださったのだった。丁寧な対応をしていただき感謝しかない。



◆さいごに……◆

 告白しよう。私は当初、これを「はやうちトレーニングマシン」の元ネタ的存在なのではないかと推測していた。インチキが売りのコスモス社のことだからきっと何かをパクっていたはずと……

 しかし実際は87年に販売されていたというのが公式見解だったのため、むしろ「ファミコントレーニングラムネ」のほうが遅かったのだ。正直、少しガッカリしたのは内緒である。でもよく考えたら、そもそもが、両方ともファミコンのコントローラを元ネタにしているわけで、どっちがパクリとか、そういう問題でもない気がしないでもない(笑)

 当時は同時多発的に、この手のグッズが大量発生していたのだろう。そのあたりも含めて調査を続行していきたい。



orotima-ku1.png駄グッズ系は鬼門!!

[ 2018/06/12 15:23 ] 謎・調査シリーズ | コメント(6)
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作者公認&謝罪!! 伝説のクソゲー『スーパーモンキー大冒険』の発売記念に開かれた謎の全国大会「天竺ファミリーゲーム駅伝」がとんでもねえ一大イベントだった件


◆クソゲーで申し訳ない◆

 先日、クソゲーとして有名なファミコンソフト 『元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険』の作者さんがBEEPリレーブログに登場。クソゲーだったことを認め謝罪するという一幕があった。

【リレーブログ(クリエーター編)第2回】”スーパーモンキー大冒険”tks様 | BEEP
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 作者さんの名前はtks氏。ふとしたことからタイトーの子会社テクノクエストに入社。新人なのに、なぜかVAP発売のファミコンソフトを担当することになったんだとか。のちの 『元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険』である。

 記事では、個性豊かなメンバーとファミコンソフト制作に悪戦苦闘した当時の状況を赤裸々に告白。同ソフトが不名誉ながら「伝説のクソゲー」と呼ばれるようになってしまった原因を、製作者の立場から以下のように指摘した。

・本来没になるべき作品がそのまま世に出てしまった。
・しかもファミコンブームのせいで30万本も出荷されてしまった

 30万本も売れていたとは驚きだ。
 そして作者のtksさんは、以下のように言葉を続けたのである。

nagaitabi0.jpg
 今動画見ても「ながいたびがはじまる…」の下りからもう我ながら笑ってしまいますが、本当にクソゲーで申し訳ない! この場を借りて、当時買っていただいた皆様にスタッフを代表してお詫び申し上げます。





◆謎の全国大会◆

 さて、私オロチがこの記事で気になったのはtksさんがふと口にした「スーパーモンキーラリー」という言葉。

 スタッフ全員、当時のイベント「スーパーモンキーラリー」の会場で台上に立たされて、満員の子どもたちの冷ややかな目線にさらされながら抱負を述べるという強烈な罰ゲームをやらされた


 正直、これがどんなイベントだったのかわからないのだけど、それで思い出したことがあったのだ。たしかこのゲーム、発売記念で謎の全国大会をやってたなあって。

 さっそく調べたところ資料が出て来たよ。こちら↓
 
tennjiku4.jpg
 出典:87年当時の雑誌「ハイスコア」より


 そうそう、天竺ファミリーゲーム駅伝だ!

 試しにググってみたけど、まったく情報が出て来ないぞ。いったいどんな大会だったのだろうか。




◆驚きの競技内容◆

 さっそく記事を読みんでみよう。

 2人交代で天竺までクリアした時間を競う大会が、全国各地で行われていた。

 いやいや、想像以上にムチャクチャだよ!(笑)

 クリアすること自体が困難な、作者すら認めるクソゲーで、クリアした時間を競う大会が開かれていたなんて、こんな話、誰が信じるだろう。日本全体がファミコンという名の熱病に浮かされていたとしか思えない所業だ。

 しかもこれ、適当に「全国大会」とか言って、東京でチョロっとやって終わり、みたいなやつじゃなかったのだ。

tennjiku5.jpg
 出典:87年当時の雑誌「ファミ通」より

 別の資料によると、この大会は旭川、新潟、関東、静岡、中京、大阪、広島、福岡、熊本、山形の10か所でそれぞれ予選をやって、勝ち抜いたグループが上京し、東京ヒルトンで決勝大会をおこなって日本一を決めるという、とんでもねえ規模の一大イベントだったのである!

 こんなの、ただのeSportsじゃん(笑)



◆作品の価値◆

 さらに言うと、地方予選を勝ち抜いた選手たちは、東京まで無料で招待されていたり、余興でアイドルのコンサートがあったりと、無駄に豪華だったようだ。

 そして気になる結果は以下の通り。
 
 優勝は南九州地区に決定。30分19秒というタイムだった。

 これはもうファミコン史上に残る30分19秒ですよ。

 優勝したグループの子らは大会に向けて、毎日、毎日、『スーパーモンキー大冒険』を練習していたに違いない。やっとの思いで予選大会を突破し、春休みになって、はるばる九州から上京。日々の努力が実って見事、日本一に輝いたんじゃなかろうか。

 私はつくづく思う。作品の価値は作者の手を離れる、とはよく言ったものだが、とくにゲームの評価が難しいのは「そのひとの体験がともなうから」だと……




 たとえ、作者自らクソゲーの烙印を押したどうしようもないゲームであろうと、その子らにとっては汗と涙の結晶なんだ。努力して日本一になったソフトに何も思い入れがないわけがないじゃないか。

 ほら、子どものときバカみたいに頑張ったことっていつまでも憶えているよね。きっと今でも彼らの中の『スーパーモンキー大冒険』は、宝石のように輝いていることだろう。素敵なゲーム体験として。



orotima-ku1.png作者にとってクソゲーでも
誰かにとっては名作なんだ




 追記:2018/7/4

 大会に参加された方の文章がWebアーカイブに残っていたという情報を頂きましたので紹介しよう。

クソゲー兄弟仁義 Kusoge Brothers ゲームレビュー 元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険(Webアーカイブ)

 これは貴重な体験談だし、最後なんか、ちょっと感動してしました!




 ちなみに以下、余談だが……

 冒頭で紹介した記事では、あの例のメッセージについても言及がされていたのだ。たぶんWeb媒体で、作者がこのメッセージに言及するのは初めてだと思われる。

hajamonki1.jpg
 そしてもうひとりのデザイナーのNさんは、もう例の件(笑)で有名な方ですね。彼については、一言で言うとあの隠しメッセージのまんま!の人というか(笑) あの裏技を知った時には、怒るどころか爆笑してしまいました(大体いつどこで仕込んだかは見当がついてます)

 まあ、ご本人が笑ってるなら、まあ……




 そして、tksさんはあの名作ボードゲーム系おつかいRPG『百の世界の物語』も手掛けていたんだとか。昔、バンドのメンバーと遊びまくったなあ。
[ 2018/05/24 22:24 ] 謎・調査シリーズ | コメント(9)
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剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS(スラディウス)』の真相が判明!!


sradius001.jpg

 前回、お伝えした謎のファミコンソフト『SRADIUS』の記事には、おかげさまで本当に多くの反響を頂いた。その中で我々調査班はついにその真相を知る人物との接触に成功したのである!!

 さっそく、そのやりとりをQ&A形式で公開させてもらおう。


登場人物

isinojou0.jpg
石之丞さん(落札者):接触に成功した張本人。インタビューアー。

hyu-man.jpg
関係者さん:
今回、貴重な証言をいただけることになった、スタッフロールに名を連ねる当時の関係者さん。

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オロチ:記事制作・編集。あとがき担当。


出品者さん:25年前にヒューマンクリエイティブスクールの学園祭にて『SRADIUS』をGetした人物。



『SRADIUS』がつくられた経緯

Q:『SRADIUS』が制作された経緯を教えてください。
A:HCSでの課題と、自主的な6502の学習だったと思います。
 ※HCSはヒューマンクリエイティブスクールの意
 ※6502はファミコンのCPUの意

Q:見本となるゲームはあったのですか?
A:教材的なゲームを参考にしたとは思いますが、ソースコードやキャラドット、MMLなどはオリジナル。または他の学生の提供だと思います。

 ハックROMではなかったようだ。

Q:スタッフロールがあるということは、この作品は共同制作だったのでしょうか?
A:基本はナカジマ君一人でつくっていたと思いますが、もしかしたら、学園祭で配布するにあたり、スタッフロールの方々が協力して完成度をあげた可能性はあります。
Q:関係者さんも名前が載っているということですが、何を手伝ったのでしょう。
A:それが全然記憶になく…… シューティングゲームが好きなので何かディスカッションしたのかもしれません。

 関係者さんの話では、当時、学生たちはX68000というPCで動くファミコンエミュレータで授業と制作を行っており、一学年に200人いて、ひとり2,3本はつくっていたので、1年で400~600本はゲームが誕生していたという。しかし完成までこぎつけたタイトルとなると50本もなかったのではないか、とのこと。

 さらに、FC実機で動かすためにはそれなりの改修が必要だったため、実際にその手順を踏んだのは一期生がつくった『エジプト』と、この『SRADIUS』だけかもしれないとの貴重な証言を得ることができた。



 おお、やっぱりある意味では第二の『エジプト』だったではないか!



その場でドット打ち・焼きの真相

Q:学園祭の日は、その場でドットを打ち、その場で焼かれたとのことですが、詳細を教えていただけますか?
A:当時の学園祭は近隣の小学校を借りきるという凄い規模のものでした。それは蕎麦打ち体験みたいなもので、子どもさんにドット絵を描かせ、ROMに焼いてプレゼントしていたと記憶しています。おそらく発案はHCSの教員か、学園祭実行委員会ではなかったかと……

Q:このゲームが選ばれた理由は?
A:当時完成していて、マッパー的にもROMに焼けそう、かつ、配布に向いているということで『SRADIUS』が選ばれたのだと思います。

Q:配布数はどのくらいだったのでしょうか?
A:せいぜい数十本といったところでしょうか。その場でドット打ちしていたのですべて自キャラが違うはずです。

 その場でドットを打ち、その場で焼いたという話は本当だったようだ。しかもすべてのドットが違うということはひとつひとつがオンリーワンということか!

 ただし関係者さんは学祭当日、近くの別現場にてROMではなく焼きそばを焼いていたとのことで、そこまで詳しいことはわからないという。いかにも学園祭らしいエピソードで思わずほっこりしたよ^^

 あと、当日はゲストで山下章さんと渡辺浩弐さんが来ていたとのことで、これは出品者さんの証言と一致した。(前回記事の追記参照)


ガムテープが妙に新しい理由

Q:ROMはどんな状態で渡していたのですか?
A:ガワがなく剥き出しの基板にROMを刺してお渡ししていたと思います。

 ということは、この「マエ」と書かれたガムテープは出品者さんの所業だった可能性が高い。

sradius013.jpg

 しばらくもらったままにしていたが、年月が経ち、外れそうになってきたためか、ガムテープを巻いたということなら、この“妙な新しさ”も説明できるだろう。

 なお、関係者さん曰く、記憶があいまいということで、今回語った内容については「100%の真実ではない」と付け加えられておられた。なんせ、25年も前のことだものね……



あとがき

 ゲームの基板には必ず物語が沈められている、と私は思う。
 それはゲーム内のストーリーのことではない。そのゲームがこの世に産声を上げるまでの誕生物語だ。ファミコンを集めていると、ときどき出会う「謎に満ちあふれたソフト」には、たいてい想像もできないような興味深い誕生物語が沈められているものだ。

 今回、出会った謎のファミコンソフト『SRADIUS』は、いわゆる自主制作ソフトというカテゴリーに入る代物だったのかもしれない。しかも剥き出しのROMに、無造作に巻かれたガムテープという破天荒な姿をしており、そこにどれだけの価値があるのか、と訝しむレトロゲームファンもいるだろう。

 しかし私は思うのだ。これもファミコンの歴史の1ページではないのかと……


 ※プレイ動画

 かつて日本に存在したヒューマン・クリエイティブ・スクールというゲーム専門学校で、次代のゲーム業界を担うべく、勉学に励んでいた学生たちが、モラトリアムな立場だからこそ抱ける純粋な夢や希望を、熱く語っている姿が想像できないだろうか。いや、実際はどうだったか知らないよ(笑)
 知らないんだけども、今回、基板の底から掬い取とられた誕生物語に、そんな妄想を禁じえないのは私だけだろうか。少なくともそれは誰かが紡いでいかなければ失われていたファミコンの歴史の1ページではなかったのか。そう考えるとこの『SRADIUS』というファミコンソフトが、ますます貴重な存在なんじゃないかと思えて仕方ないのである。

 そこにどれだけの価値があるのか。私は逆の意味でわからない。それほどまでに出会えて良かった。このゲームに!



orotima-ku1.png石之丞さん、関係者さん、製作者の皆さん……
その他、証言をいただいた全ての皆さんに感謝!


[ 2018/05/17 22:02 ] 謎・調査シリーズ | コメント(3)
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その場で焼いた!? 剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS』の謎 (※追記あり)


剥き出しのROM

 2017年9月――
 あまりにも怪しい見た目をした謎のファミコンソフトがヤフオクに出品されていた。剥き出しのROMに、無造作に巻かれたガムテープ。その姿はお世辞にも物欲を刺激するようなものではなかった。

 ご丁寧にマジックペンで「マエ」と書かれちゃっているところなど、すこぶるファンキーですらある。

sradius013.jpg

 しかし、その説明文を読むと……
 非常に興味をそそられる内容だったのだ。

 ヒューマンクリエイティブスクールの1993年か1994年ごろの学園祭で、いただいたファミコンのROMです。かなりうろ覚えですが、シューティングゲームでキャラクタのドットをその場で、好きなように打って、それを焼いたものだったと思います。

(引用:ヤフオク!※リンク先はaucfan)


 ドットをその場で打ってその場で焼いただって!?

 にわかに信じがたい所業だ。そもそもヒューマンクリエイティブスクールといえば、かつて存在したゲームメーカー・ヒューマンが1990年4月に開校した日本初のゲーム専門学校じゃないか!


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 ※かつて存在したホームページのバナー(リンク先はWeb Archive)


 同社がファミコンで出していた『エジプト』(1991年3月)はヒューマンクリエイティブスクールの生徒がつくった作品として売り出されたことはあまりにも有名だ。



 この試みは「生徒作品商品化プロジェクト」と呼ばれ、在学中にそのアイデアを認められた学生は、実際に、自らチームを率いて商品化させることができたという。以下『エジプト』に続いて同プロジェクトにより世に送り出された作品である。


・『ドラゴンズ・アース』(1993年1月)


・『セプテントリオン』(1993年6月)


・『ザ・ファイヤーメン』(1994年6月)

 いずれもスーパーファミコン作品なのを考えると、もしかしたら、この謎のファミコンソフトは幻に終わった「第二のエジプト」だったかもしれないぞ!? (想像力が豊か)




驚きのゲーム内容

 落札者・石之丞さんから調査依頼を受けた私オロチはこの謎のファミコンソフトをお借りすることができた。さっそく震える手を押さえつつ慎重に本体へセットし、恐る恐る電源をつけてみると……

 思わず息を呑んだのだ!

sradius001.jpg

 ス……
 スラディウスだと!?

 明らかに『グラディウス』を意識したタイトルだ。なんならハックROMかもしれん。横の数字「6502」はファミコンのCPUの型番だろうか。つくったのはM.NAKAJIMAという人物らしい。ヒューマンクリエイティブスクール、1993年の作品とある……

sradius004.jpg

 2人プレイもあるのか。
 自機デザインはビックバイパーより鼻先が丸いな。

 ひとまず1Pでスタートだ。

sradius005.jpg

 ステージの雰囲気は、どっちかというと『沙羅曼蛇』に似てる。
 BGMはオリジナルかな。どこかで聞いたことあるような、ないような……

sradius007.jpg

 この火の鳥みたいな敵は見たことあるぞ。
 っというか、すこぶる敵が固い。

 難易度は高めだな……

sradius008.jpg

 しばらくステージを進めると唐突にボスが出現!
 のっぺりとした造形が逆に、不安を煽ってくるデザインだ……

 どっぷり苦戦しつつ、ちょっとしたサプライズがありながらも、何とか撃破した私は、次の展開にさらに驚いてしまったのだ。こちら↓

sradius0101.jpg

 なんと、スタッフロールが流れて来たではないか!

 メインプログラマーだったNAKAJIMAさん以外の方の部分は念のため黒塗りにさせてもらったが、サウンドアシスタント、CGアシスタント、スペシャルサンクス含め、総勢14名の制作スタッフによる作品だったとは……

sradius011.jpg

 このあと、タイトル画面に戻った。


 全貌はこちらの動画を見て欲しい↓






25年という歳月……

 気になるのは、この謎のファミコンソフトがいったいどういう経緯でつくられたかということだ。なぜタイトルが「スラディウス」なのか。どうやってつくったのか。ハックROMなのか、そうじゃないのか。その場でドットを打って、その場で焼いたというのはどういうことか。疑問は尽きない……

 しかし、結論から言ってしまえば中心人物と思われるM.NAKAJIMAという人物については、いくら調べても何もわからなかったのだ。


 ※PS2『ファイプロ・リターンズ』

 その代わりではないが、サウンドアシスタントをしておられた人物についてはその後、ヒューマンへ入社。SFC用格闘技ゲームのアシスタント・プログラムとして関わっていたことが判明。ヒューマン解散後は、スペシャルサンクスに名を連ねていた2名他と共に、ヒューマン系クリエイティブ集団(のちに法人化)の一員として活動。PS2『ファイプロ・リターンズ』(2015年)の制作などに携わっていたらしいが、現在の活動は不明。

 その中で唯一、とあるゲームメーカーでPC-FX最後のタイトルの制作に関わっていたことが判明した人物については、そのメーカーが健在だったので思い切って問い合わせてみたが「10年以上前に退社した」との回答を得た。業務と関係ない質問だったにも関わらず、わざわざ回答していただき、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 他3名ほどそのままヒューマンへ入社し、いくつかのタイトルに関わったことが判明した人物もいたが、いずれも現在の活動は不明である。25年という歳月は、想像以上に長かったようだ……

 当サイトでは引き続き、この剥き出しのファミコンソフト『SRADIUS』の謎を追っていきたい。


orotima-ku1.png情報求むぜ!!




 追記:2018/5/16

 配布していた日時が特定できそうな出品者さんの証言がひとつありました。その日、ゲストに「ベーマガ」などで知られるライター・山下章氏が来ていたそうです。



 追記:2018/5/16

 とある方から決定的な証言を得ました!!
 後日、改めて報告いたします。



 提供: 石之丞@iPT71niRhvOWnBF
[ 2018/05/15 20:20 ] 謎・調査シリーズ | コメント(16)
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