なぜ「PCエンジン」全タイトル数は資料によってバラバラなのか問題


◆意外と厄介◆

 高橋名人のブログを読んでいたら気になる記述があったのだ。

さて、今週は、私の持っているPCエンジンゲームを紹介したいと思います。PCエンジンは、650タイトルほどが発売されているのですが、私が持っているのは、その中の100タイトルほどになります。
 出典:PCエンジン その1 | 高橋名人オフィシャルブログ「16連射のつぶやき」

 PCエンジンの全タイトル数(総数)について……
 名人は「650タイトルほど」と言ってるが、正確な数字は何だろう?

PCエンジンコンプリートガイド

 さっそく書籍&Web資料をかたっぱしからひっくり返して調べまくってみたんだけど、これが想像以上に厄介だった。というのも、なぜか総数を掲載してない資料が多いのだ。仕方ないから、かたまりごとに数字を出して計算機で足したり、ボールペンで印つけながら手で数えたよ!



◆バラバラな総数◆

 その結果がこちら↓

 646 PCエンジンコンプリートガイド(主婦の友インフォス) 
 650 PCエンジンのゲームタイトル一覧(Wikipedia)        
 656 超絶大技林'98年春版(徳間書店)
 669 PCエンジン発売日順リスト(硬派なPCエンジンFX広場) 
 674 ゲーム / メディア芸術データベース(文化庁)
 685 PCエンジンソフト一覧(PCエンジン道場)
 750 PCエンジン ソフト大全(PCエンジン狂の詩)


 数え間違えがあったらごめんね!(先に謝っておこう)

 一番少ない数字と一番多い数字を除外した平均値はおよそ666本という結果となった。しかし104本も差が出るなんて思ってもみなかったよ。こうなったら、どのリストに何が入っていて、何が抜けているのか、ひとつひとつ調べあげ、いわゆる「差分ソフト」をあぶり出すしかあるまい。

 さっそく、硬派なPCエンジンFX広場さん(以下硬派)、Wikipedia(以下wiki)、PCエンジン道場さん(以下道場)、3つのリストをお借りして比較していくことにした。

PCEsousuu01.jpg

 それぞれのリストをエクセルへ抽出し、並べて配置。発売日にズレがあるものは見やすいように色分けし(いちいち訂正はしない)、漏れているものに関しては追加して、コメントを付ける。

PCEsousuu02.jpg

 なんだ、この地味でタイヘンな作業は……



◆差分ソフトの全貌◆

 ――数時間後、真夜中にこんなことをやり始めた自分を、なぐり倒してやろうかと思いつつも、なんとか作業を終えることができた私はすべての「差分ソフト」をあぶりだすことに成功したのである!

 さっそく解説していこう。


 まずは辞典系2種。すなわち『ビックリマン大事界』と『マジカルサウルスツアー』である。



 これらのソフトはWikiのリストからは除外されていた。

 つづいて雑誌系6種。すなわち『CD-ROMマガジン ウルトラボックス』シリーズの全6巻である。



 これらのソフトもWikiのリストからは除外されていた。辞典系同様、別項目にてまとめられているようである。

 つづいてカラオケ系10種。すなわち『ROM2 KARAOKE(ロムロムカラオケ)』シリーズ全5巻と、『ROM2カラオケ』シリーズ全5巻である。



 これらのソフトは硬派リストにのみ掲載されていた。

 つづいてシステムカード6種である。すなわち『システムカード3.0』や『アーケードカードPRO』など周辺機器系のカードのことである。



 これらは道場リストからは除外されていた。

 『天の声バンク』、『アーティストツール』はWikiからは除外されており、幻級のレアソフトでお馴染み『秋山仁の数学ミステリー』及びハッカー系や非売品系は道場リストのみ掲載されていた。なお道場リストは通常カードにおいて2本の漏れがあったことを指摘しておく。
 また、今回は比較しなかったが大全リスト(一番多いやつ)には、多くの書籍付属系ソフトや体験版などが掲載されているため、総数が飛びぬけて多くなっていることがわかった。



◆加える順番をどうするか◆

 以上の調査により、PCEソフトの総数はこれらの「差分ソフト」を入れるかどうかによって変動していることがわかった。すなわち以下である。

・辞典系      ×2種
・ウルトラBOX系 ×6種
・カラオケ系    ×10種
・システムカード系 ×6種

・天の声
・アーティストツール
・秋山仁の数学ミステリー

・ハッカー系   ×数種
・非売品系    ×数種
・雑誌付属系   ×数種 


 これらの差分ソフトを一切、除外した場合、何もケチのついてない数字は650である。これはwikiと一致した。これでやっと「何を加えるべきか」という議論のスタートラインに立つことができた。

 いや、もっと正確に言うなら「加える順番をどうするか」ということになるだろう。なぜならPCエンジンのソフトの総数もまた、ファミコン同様、段階的なものであるべきだと、私は思うからである。



◆コンプリート性と網羅性◆

 ということで、ここからは研究の進んでいるファミコンをお手本に、話を進めていこう。

 参照記事:ファミコンカセットコンプリートに『バトルラッシュ』を含めるべきか問題

 まず考慮すべきは「普通に店で買えたかどうか」であろう。そう考えると書籍流通だったという『秋山』は怪しくなってくる。カラオケ類はよくわからないので、保留としよう。
 追記:カラオケ類について当時、家電量販店に流通していたという証言を頂きました。ゲームでなかったため玩具・ゲーム屋さんは仕入れなかったのではないか、とのことだ。

 次に「周辺機器かどうか」という点について。高橋名人にいわせるとシステムカードはゲームではなくOSみたいなものなのだという。しかし私は、直感では除外する必要はないと思ったのだ。なぜならシステムカード類なんかはHuカードと同じ形をして、同じようなパッケージに入れられて売られていたじゃないか。コレクター目線だと同じように見える。
 ただ、役割としては、ファミコンでいうところのディスクシステムのRAMアダプターみたいなものなのかもしれない。RAMアダプターはファミコンのスロットに挿せるものではあるが、掲載されているリストは見たことがない。

 最後は網羅性という次元の話になる。ハッカー系や非売品系、書籍付属系、サンプル系などはもちろん、わずかに存在したというインディーズ系なども入ってくるだろう。また、バージョン違いやパッケージ違いなんかも最終的には入ってくるだろう。しかしこの段階になると、もはや宇宙の果てを目指すようなもの。まさに最終段階といえる。
 そもそも、コンプリートと網羅性というのは必ずしも一致する概念ではないということを指摘しておきたい。コンプリートは達成を目指すことができるもの、網羅性とはそういうの度外視する(例えば世界に1本しかないソフトもリストに入れる)イメージだ。

 私の見解をまとめると以下のようになる。

650 純粋数。何もケチのついてないPCEソフト総数
658 純粋数に辞典系2種、ウルトラBOX6種を加えた数
668 さらにカラオケ10種を加えた数
676 そこへシステム系6種+アーティスト+天の声を加えた数
677 さらに『秋山』を加えた数(これをどこへ加えるかで意見が分かれるところ)

+ハッカー系 +非売品 +その他 ……

 ご意見、ご感想、間違いなどがあったらご指摘願いたい。



orotima-ku1.png しくよろ。



 リスト抽出協力:市長queen さん
[ 2018/07/08 13:45 ] PCエンジン | コメント(19)
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PCエンジン『秋山仁の数学ミステリー』がヤフオクに登場!!


 PCエンジンのコンプリート最大の壁と呼ばれる『秋山仁の数学ミステリー』が久々にヤフオクに登場!!

akiyama01.jpg
akiyama02.jpg

 DUO-RX本体(箱付)とセットで出品され、43万円で落札されていた。



 ちなみに前回は単品で30万円だった。DUO-RX本体(箱付)とセットだったとはいえ、かなりの高額である。



orotima-ku1.png秋山先生、最近テレビで見ないなあ

[ 2018/06/24 00:14 ] PCエンジン | コメント(5)
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「PCエンジンコンプリートガイド」3月30日発売!!


 ベストセラーシリーズ「コンプリートガイド」に、いよいよPCエンジンが登場!!

PCエンジンコンプリートガイド
 ファミコンのライバルとして多くのゲーマーを虜にしたPCエンジンの全ソフトが一堂に会する夢の一冊。画像は全て撮り下ろし!

 レトロゲームの歴史を紐解くコンプリートガイドシリーズ最新作は、1987年に誕生した「PCエンジン」に焦点を当てる。ファミコンを超える性能を誇るPCエンジンは、アーケードからの移植も容易となり、数多くのアーケードゲーマーたちをも魅了した。また、世界で初めてCD-ROMを媒体に採用。これをきっかけに、家庭用ゲーム機は光媒体が主流となるなど、PCエンジンがゲーム業界に与えたインパクトは大きく、歴史的なハードの1つとして、今もなお愛され続けている。
 もちろん過去のコンプリートガイドシリーズ同様、有名コレクター全面協力のもと、PCエンジンで発売された全ゲームソフトを、ゲーム画面・パッケージ・Huカード&CD-ROM2の写真付きで紹介する文字通りのコンプリートガイドである。さらには本体や周辺機器も大量掲載。姉妹本のファミコンコンプリートガイドと併せて手元におきたい、永久保存版の一冊


 今まで、ありそうでなかったPCエンジンの全ゲームソフトのコンプリート本。有名コレクター全面協力とのこと。これは要チェックだ!!



orotima-ku1.png僕もファミコンの陰でこつこつと集めてるよ



PCエンジンコンプリートガイド

主婦の友社
売り上げランキング: 240

[ 2018/03/17 00:12 ] PCエンジン | コメント(0)
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「PCE Works」はレトロゲーム界の救世主か!? 恐怖の大王か!?(後編)


<ゲーマー市場とコレクター市場>
 
 また会ったね!
 PCエンジンの海賊版をリリースしつづける謎のメーカー「PCE Works」の実態に迫る取材記事の後編だよ。彼らがつくっているのはまぎれもない海賊版、偽物、コピー品だ。それを売るのはれっきとした犯罪行為である。はたして彼らは何を考え、何を成そうとしているのだろうか!

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 ※こちらは商品に付属するグッズの一部


 前回、私オロチはPCE Works中心メンバーへのインタビューを敢行し、その志や目的を聞き出すことに成功。しかし、いくら彼らと会話を重ねても一向に理解が追いついてこないのだ。

 さっそく続きからどうぞ。
 

orotima-ku1.pngオロチ:あなたがたの製品が日本のオークションを荒らしまくってるのはご存知ですか?

PCE Works:問題ありません。私たちは売り手がPCE Worksの製品だということを明示していることが重要だと考えているからです。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:なるほど。偽物とわかって売ってる人間と買ってる人間がWINWINの関係だから別にいいじゃんって論法ですね。でもそれって他の誰かが負けてるだけですよね?

PCE Works:そうは思いません。過去数年間を振り返ってみて下さい。我々のreprosが純正品に害を与えていたでしょうか。それらのプレミア価格は相変わらず高騰しつづけています。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:高騰してるから良いと言える根拠は何ですか?

PCE Works:私たちは「ゲーマーの市場」と「コレクターの市場」は似て非なるものと考えているのです。たとえば『サファイア』の複製品を6000円で買う人間は、オリジナル版が15万円で売っている市場にはいません。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:なるほど。一理あるかも。日本の市場はその区別を明確に意識して来なかったかもしれません。


 この指摘は正直、興味深かった。

 つまり我々(私を含めた弊ブログ読者の皆さん)に買い手の姿が見えないのは、おそらくコレクター側の人間が多いからってことか。そして、転売ヤーたちの手を介しているとはいえ、ヤフオクで彼らの製品が潜在的ニーズを爆発させてる理由もそこにある気がする。




<急展開に心揺らぐ>

 続けて、衝撃の事実、行くよ。


PCE Works:私たちの商品はほとんど39か49ユーロで国際送料込みなのです。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:日本からの注文でも送料無料?

PCE Works:もちろんですとも。orotima-ku1.png


 なんと、PCE Worksの製品は公式サイトで日本からでも購入できるという。しかも国際送料込みという破格の待遇で。ってことは何かい。ヤフオクで転売ヤーに札束積んでるひとたちって何かの苦行なの? そういうエキササイズでも流行ってる?

 だからと言って当サイトは決してここから直接買うことを推奨しないということだけは強く断っておく。

 しかしいったいどういうつもりなんだこの集団。ますますわからなくなってきたのは事実だ。頭が混乱してきた私は、こんなことを口走っていた。


orotima-ku1.pngオロチ:もしかしてあなたたちは救世主になるつもりですか? 日本全国のレトロゲームファンが真実を知りたがっています。

PCE Works:だったら、確かめてみましょうよ。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:!?

PCE Works:差し支えなければ私たちはあなたへBOXセットを送ることができます。自分の目で確かめてみたらいかがですか?orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:の、望むところだ!


 何だこの急展開(笑)

 ドイツの諺に「Taten sagen mehr als Worte.」というものがある。直訳すると「行動は言葉より多くを語る」という意味だ。思わず主語がでかくなってしまった私に対して、彼らが出した答えはまさにそんな金言の如く、ゴチャゴチャ言ってないでやってみろ的な、自惚れた挑戦状だったのだ。ここで逃げたらヘビの名が廃るっしょ!

  執念深さだけで20年間、ファミコンを遊んできた私オロチだ。PCエンジンデビューこそつい最近だが(最近なのかよ)、受けて立とうじゃないか。




<ゲームをするのも一苦労>

 10日後――
 本当に来ちゃったよ。はるばるドイツからPCE Worksの荷物が。実はあとでわかったことなんだけど、ウェブサイトにちゃんと「レビューしてくれるひとへは無料でプロモーションBOXを送ります」というようなことが書いてあったんだよね。箱に「PROMO INSIDE」なんていう専用シールまで貼っちゃってさ。

 ごめん。何度も聞くけど、ここって海賊版メーカーだよね?

pcew021.jpg


 しかし、なにやらひとつ問題があったようだ。そういえば、これを発送する前に彼ら、こんなこと言ってたっけ。

 プロモーションソフトの在庫が切れてたから製品版を入れておきました。


 なんのこっちゃ知らんけど、問題ならこっちにもあるから安心してくれ。それは私がPCエンジンスーパーCD-ROM2を動かす環境を持ってないということだ。だが送ってもらったからには実際にプレイしてこの目で確かめるのが筋だし、相手が悪党であろうが、畜生であろうが仁義だけは通すぞ!


duo202.jpg

 なんて意気込んで、さっそく大須の某ショップでPCエンジンDUOを購入。

 決して安い買い物ではなかったが、動作品として売っていたDUO。いざ家に帰ってプレイしようとしたらまさかの電源ボタン不良というトラブル発生だ。ムシャクシャして記事をアップしたら「DUOはジャンク率高い」って教えてもらった。なるほど。だからDUO-Rのほうが割高なのね……


 1週間後――
 次の休日になって某ショップへ返品に向かう。別のDUOと交換してくれるって店員さんが言ってくれたんだけど「DUO-Rにしようかな」って切り出してみたところ(もちろん差額は払うつもりで)、店員さん「わざわざ持ってきてくれたから」ってサービスしてくれて、思わず感動してしまったよ。
 なんていうか、ひとっていろんなひとに助けられて生きてるんだなあって(笑)

duor-01.jpg


 なんの話やねん!




<どこまでも平行線>

 本筋に戻ろう。プレイ環境もそろったし、いざ、開封の儀だ。ドイツから届いたダンボールの中には、なにやら想像以上に色んなものが詰まっていたのだった。

pcewa-kusu006.jpg
 ※モザイク処理しています

 何度もいうがこれは海賊版であり、決して褒められたもんじゃない……

 しかし、ブラフかもしれないがこれだけのものを易々と送り付けてくるなんて正直、震えたぞ。怯えているのではない。武者震いなのだ。バリバリと容赦なくビニール包装を破りながら、様々な思いが交錯した。

 宣伝の片棒を担ぐつもりは毛頭ないので、これ以上、詳しく書けないが、私オロチはたしかにこの目でこれらの製品を見たことだけはお伝えしておこう。


 最後にこんな疑問をぶつけてみた。


orotima-ku1.pngオロチ:正規品と区別つけるためにロゴを入れているなら、なぜジャケット側に入れないのですか?

PCE Works:我々の製品のほとんどはBOXセットなので問題ないと考えます。個別のジャケットには以前、ステッカーを貼っていたのですが不評だったのでやめました。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:ではあなた方自身は、複製品と正規品を見分けることはできますか?

PCE Works: 正規品はセロハンラッピングの開口部にストリップを採用していますが、我々の製品はそれを有しておりません。オークションの出品物を見極めたいときは、いつでもお手伝いしますよ。orotima-ku1.png


 最後までツッコミどころ満載だね!


pcewa-kusu008.jpg
 ※ビニール包装を剥がすとき、引っ張ってピーってやるやつ

 ちなみに彼らのいう開口部のストリップとはこれのことだと思われる。ソフトは私オロチが唯一持っているスーパーCD-ROM2の新品ソフトの『パニックボンバー』。たしかにPCE Worksのソフトはそのようになっていなかった。 ※1




<まとめ>

 今回の取材には2つの意義があると考えた。ひとつは彼らの実態を暴くこと。彼らと接触しありのまま起こったことや、彼らが何を考えているのかを皆さんにお伝えすることで、まずは現状を把握する。そしてもうひとつが問題提議というやつ。海賊版が堂々と売られていると言う事実、それがなぜか野放しにされているという事実を広めること。

 そうすることで何か大きな動きになるんじゃないかと考える。私一人が突撃しただけではご覧の有様だ。つまり一人じゃ何もできないということもわかった。しかしながらこの記事がきっかけとなり第2の矢、第3の矢が放たれるかもしれない。私は事態が好転することだけを願っているのだ。



 ※ 画像の使用にはPCE Worksの許諾をもらっています
 ※1 誤解を生むような表現を修正。予定していたレビュー編はとりやめました。2017/11/11 
[ 2017/11/10 17:45 ] PCエンジン | コメント(76)
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「PCE Works」はレトロゲーム界の救世主か!? 恐怖の大王か!?(前編)


<ヤフオクで猛威>

 1年くらい前、ヤフオクで妙なBOXセットを発見した。それはPCエンジンスーパーCD-ROM2のソフトが3本セットになっているもので、メーカーはPCE Worksという聞いたことないところ。やけに洗練された感じがしたので、復刻版なのかなと思ったんだけど、そんなものも聞いたことがない……

 気になってツイッターで質問してみたことろ、フォロワーさんから「ドイツの業者が無断でつくって販売しているもの」と教えてもらい「なにそれ」って思った。そのときはそれ以上、興味が湧かなかったので忘れていたんだけど、先月とあるネット旧知の方から「このままじゃ、CD系レトロゲームがやばいかも」という不穏なメールを頂いてしまったため、飛び起きるように調査を開始したのだ。

pcewa-kusu001.jpg
 ※こちらは商品に付属するグッズの一部


 なんでも最近、そのPCE Worksのコピー品がヤフオク!で猛威を振るっているらしいじゃないか。もう、偽物の類なんておなかいっぱいだよ。なんて思いながら調べてみたら、結局は驚いたのだ。

 こちら……

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 ※2017年8月~9月のオークション結果の一部
 
 おいおい、なんだこれ!?
 いつの間にか取引数がものすごい増えてるじゃん!しかも落札額が半端じゃない。これは本当にやばいことになってるぞ!?





<「PCE Works」は何者なのか?>

 一般的なイメージとしてゲームソフトをコピーしているような業者は表舞台には出てこないものだ。しかしながらこのPCE Worksというメーカーは何を考えているのか堂々と公式サイトを開設しており、しかも通販までしていた。

PCE Works公式サイト

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 なんなら現在、PCエンジン30周年セールをやっているくらいのポップさすらある。
 本当にここライセンス無いんだよね。何度も確かめたくなっちゃうよ……

 気を取り直して公式サイトを上から下までなめるようにチェック。

pcennjindoitu02.jpg

 しかし、すごいな。

 そのラインナップには正直、目を見張るものがあるのだ。いずれもPCエンジンのSUPER CD-ROM2ソフトのようだが、見たことないパッケージもちらほら。このメーカーが最初に発表したのは2014年の「PCEメモリーズ」というボックスだったようで、『レニーブラスター』『風霧』『フォーセットアムール』『シルフィア』の4本がセットになったものである。いずれも鼻血が出るくらいのプレミアソフトじゃないか。

 さらに『ツインビーりたーんず』※1といった商品化されてないものや、『スペースファンタジーゾーン』※2といった未発売品。さらにPCエンジンに移植されてすらいない『ロックマン』※3といったゲームまで、ご丁寧に商品化されている始末。

 何度も同じことを聞いて恐縮だが、これ全部「海賊版」なんだよね?

 しかもよくある本物そっくりにつくってる偽物と違って、わざわざ説明書の裏表紙やCO-ROM表面に「PCE Works」というロゴが刻印がされているっていう謎のこだわり仕様だ。

※1 PCE版『ときめきメモリアル』に収録されていたミニゲームのひとつ。
※2 ほぼ完成していながら発売中止になった幻のソフト。
※3 海外のアマチュアが無許可で勝手に移植した同人作品。




<海外での評判>

 売ってるものはだいたいわかった。クオリティは高いしラインナップも絶妙なものばかりだ。しかしこのような所業、海外ではどのように思われているのだろう。

 さらに調査を進めると中心メンバーと思われる人物の名前を特定できた。Tobias Reich氏※1。彼はアップスキャンコンバーターの研究で欧州レトロゲーム界に名を馳せた人物だった。海賊版をつくってはいるが、そのスタンスは「アジア圏のひとたちが生活のために手を染めている」という従来の無断コピーへのイメージとはかけ離れている。

 たったひとつだけ確実なことが言えるとしたら、それはTobias氏がガチのPCEオタだということだ。

 そのため、マニアに対して痒いところに手が届くプロダクションスキルが尋常じゃないことは認めざるを得ない。独自のコレクターボックスや、オリジナルグッズなどへのこだわりは前述の通りである。


 ※1 PCEWorksの希望により、Tobiasという記述を以降「PCE Works」に置き換えさせていただきます。理由:あくまでもこれらの実績や見解はPCE Worksというグループによるもののため。2017/11/9 修正

suaopairmkiamkamajsdns.jpg
 ※例えばこれはパンティ付という驚きのコレクターズボックス。


 そんな氏率いるPCE Worksは過去にはPCエンジンCD-ROM2プレミアソフトの代表的作品である『銀河府警サファイア』のまぎれもない偽物をつくっていたり、現在でもゲームを英語へ翻訳する際に別の海外フォーラムの有志がつくったものを丸々パクってしまったりと色々やらかしているという話もあり、その評価は分かれるところだ。

 たとえば2015年のこちらの海外フォーラムDigitpress.comでは以下のようなやりとりがされていた。

「PCE WorksはコナミのIPを盗んでコピー品を売っているが、なぜコナミは動かないんだ?」

「ニッチな需要のために、新しいパッケージをデザインしたり、生産する技術を習得したりするのは大変なことだ。私は立派だと思うよ。」

「しかし、彼が過去に『銀河府警サファイア』の偽物をつくっていたことを忘れてはいけない」

「それが何か問題か? これだけのものを提供してくれているんだ。それなりの報酬があってしかるべきじゃないか」

「少なくとも彼が『ロックマン』を移植したことについてはコミュニティにも悪影響を及ぼしているね。本来PCEソフトでないものを出す意義がわからない」

「コナミのような大企業はレトロゲームで利益を出すことは無理だが、ライセンスの許可も出さないだろう。そのうち彼は訴えられると思うよ……」



 一方、海外掲示板RedditGamingNeoGAFでもたびたび以下のように言及されている。

「彼は犯罪者です」

「海賊版のくせに高過ぎるよね」

「私はいくつか持ってますが悪くない買い物でした」

「もしあなたがプレミアソフトを安く手に入れたいなら彼は神です」



 また、フランスのフォーラムgamopatではこのような意見も。

 たとえば私はローレックスの時計が欲しくても中国製の偽物を5ユーロで買うつもりはありません。私がコレクターになったのはゲームの物資的な魅力だけでなく、歴史や希少性に価値を感じるからです。彼らは歴史や希少性までコピーできますか?






<PCE Works中心メンバーを直撃>

 海外での評判もだいたいわかった。しかし一番知りたいことがまだわかっていない。それは、このメーカーが「何の目的でこんなことをしているのか」ということである。

 こういうときは本人に直接聞くのが一番早いのだ。

 今はネットの時代。しかも相手は普通に公式サイトを開設している人物である。買うふりして質問攻めにしてやるぜ!なんて思いつつ公式サイトに載っている連絡先へメールを送ってみたところ、あっさりTobias氏本人(PCE Works)から返事がかえってきて、逆に恐縮してしまったのだった。

 それではさっそく彼とのやりとりを、わかりやすくアレンジしつつ再現してみよう。


orotima-ku1.pngオロチ:あのう、これって正規品ですか?

PCE Works:我々の商品はほとんどが"repros"です。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:つまり複製品なんですね?

PCE Works:そうです。NESやメガドライブと比べて、海外にはPCエンジンのファンが少ないのです。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:それは少ないから問題ないという認識でしょうか。目的は何なんですか?

PCE Works:ひとつはプレミア価格に対抗するため。もうひとつは世に出ていないソフトの復刻です。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:なるほど素晴らしいですね。目的だけは。しかし、だからといって偽物をつくるという手段についてはどのような見解をお持ちで?

PCE Works:reprosの歴史は長い。あなたはNESやSNESのタイトルを販売するウェブサイトを容易に見つけることができるでしょう。しかしPCエンジンについては存在しなかったのです。私たちが始めるまでは……orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:真実はこれからの歴史が証明するってやつですか。なるほど立派ですね。志だけは。

PCE Works:我々の商品を見てください。ちゃんとロゴマークが入ってるでしょう。orotima-ku1.png

orotima-ku1.pngオロチ:そうか。あのマークはオリジナル品と区別をするためのものだったのか! ちゃんとした目的があって作ってるんですよというエビデンスとしての!?

PCE Works:まあ、そういうことですね。orotima-ku1.png


 何回かやりとりして私オロチは思った。

 やばい。彼ら、ちゃんと受け答えしてくれるし、まともなひとたちだ。これがドイツ人気質ってやつかと。しかしそれだけに、なぜこんなことをしているのか不思議なのだ。裁くつもりはない。理解できないからこそ理解したくて仕方ないのである。あくまでも追い求めるのは真実のみなのだから!

 そこで私はあの話題を振ってみた……


orotima-ku1.pngオロチ:そんな、あなたがたの商品が日本のオークションを荒らしまくってるのをご存知ですか?

PCE Works:……orotima-ku1.png


 果たして彼らの反応はいかに!?

 長くなるので今回はここまでにしておこう。後編では驚きの展開が待っているぞ。なんて煽ってみる(笑) 続きをお楽しみに!




 ※ 画像の使用にはPCE Worksの許諾をもらっています
[ 2017/11/07 18:28 ] PCエンジン | コメント(25)
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