初代プレステ幻級の限定モデル「10 Million Model」と黒ステについて


<1000万台ありがとう!>

 ときは1997年12月3日――

 初代プレイステーションは3周年にして全盛期を迎えていた。いくぜと意気込んだ100万台こそサターンの尻を拝む結果となったが、人々が握りしめていたコントローラのボタンは、いつしか□△☓◯になっていた。その勢いは数字にも表れ、全世界出荷台数は前年で、すでに1000万台を突破していたのだ。
 日本国内での出荷台数も、この年末には1000万台を突破する見通しだ。

 関係者の一人が言った「あのとき、スーパーファミコンの周辺機器になり損ねて良かった」と……

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 ※イメージ図

 そこでソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE=現SIE)は感謝の気持ちを込めて「プレイステーション 1000万台ありがとう!」キャンペーンを実施。

 この偉業を自ら盛大に祝うことにした。

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 ※初代プレイステーションの全世界出荷販売台数の推移(当ブログ調べ)


 以下、当時のプレスリリースより。

 「プレイステーション」は94年12月3日に発売以来3年を経過し、本年末で本体の国内生産出荷累計が1000万台に達する予定です。併せて11月末でのプレイステーション対応ソフトの総タイトル数も1000タイトルになりました。
 これを感謝し、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)では、『プレイステーション 1000万台ありがとう!』プレゼントを12月3日~31日の期間で実施いたします。

 ※『プレイステーション 1000万台ありがとう!』プレゼントを実施(1997年12月2日)


 灰色の弁当箱のようだった本体はミッドナイトブルーに染められた。それが1000万台モデル(10 million model)である。

 デュアルショックと名付けられたコントローラがデビューしたのもこの時期だ。特別仕様の1000万台モデルはスウェードブラックという艶消しの黒。ともに「非売品」の文字が刻まれたラグジュアリーな漆黒の化粧箱に納められた。そしてメモリーカードもブリリアントシルバーの特別仕様。

 それぞれ、当選通知とともに幸運なファンのもとへ配布された。

 


<複数ある型番の謎>

 当時の資料によると、プレゼント総数は本体が100台、コントローラが1000本、メモリーカードが1万個だったようである。つまり、この限定モデルの本体(SCPH-7000)はこの世に100台しか存在しないことになるが、厳密に言うとそれは正確な数字ではない。

 1997年12月31日に想定通り1000万台を達成したSCEは、のちの1998年4月に北米にて100台(SCPH-7001)。さらに6月にはヨーロッパにて100台(SCPH-7002)のプレゼントキャンペーンを行っているのだ。

 したがって、この限定モデルは少なくとも300台は存在することになるが、それでもまだ結論ではない。実際にはさらに多かったことが「SCPH-7000W」という型番の存在によって明らかになっている。

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 ※たまたま見つけたポーランド語の記事

 このサイトによると、この1000万台モデルはSCPH-7000に先駆けてごくの初期に、関係者へのみに配られたものであり、型番SCPH-7000Wの最後の文字「W」はおそらく世界(World)の頭文字ではないかという。

 いずれにしても1000万台モデルが、世界で数百台しか存在しない希少種であることには変わりないようだ。




<計り知れない市場価値>

 そんな極端に数のすくない幻級のプレステ本体が先日、ヤフオク!にて発掘されていたので紹介しておこう。

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 ※◇[未使用/幻の1品]PlayStation 10million model SCPH-7000 非売品/当選品/限定100台 PS1本体/プレイステーション(ヤフオク!)
 

 こちらのオークションにはミッドナイトブルーの本体(SCPH-7000)はもちろんのこと、スウェードブラックのデュアルショック・コントローラ。そしてそれぞれの黒い化粧箱。さらに当選通知がついていた。すべて未使用品である。

 結果は、かなり良心的に終わったのではないだろうか……

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 ちなみに、当サイトの独自データによると、1000万台モデルは2009年10月にも出品されており、そのときは9万3000円で落札されていた。傾向から言って、その存在は今後、ますます評価されるであろう。




<黒いプレイステーション>

 1000万台モデルのあまりにも深いブルーは、ときどき本当の黒に見えるときがある。厄介なのは黒いプレイステーションが別に存在することだ。

 通称“黒ステ”と呼ばれるこの本体は、SCEが1996年5月に開始した一般向けの開発支援プロジェクト「ネットやろうぜ」のスターターキット(価格12万円)に付属するプレイステーション本体のことである。

 黒ステには日本向け本体(DTL-H3000)とツール一式(DTL-S3000)、北米仕様(DTL-H3001)とヨーロッパ仕様(DTL-H3002)にもそれぞれツール一式が存在したと思われる。ちなみに黒ステが付属しないPC向けツール(DTL-S3005)もあった。


 あくまでも一般向けツールであり、高度なプログラミングはできなかったそうだが、国籍プロテクトがかかってないため、海外のソフトも起動させることができたという。ただし、コピーしたものは動作しない仕様である。

 もし、ガレージセールで真っ黒な初代プレステ本体を見かけたら、それはこびりついた埃なのか塗装なのか、確かめる価値はありそうだ。




<青いきつねと緑のたぬき>

 プレイステーションにはさらに青と緑の本体も存在することにも言及しておこう。

 通称“青ステ”は、黒ステのような一般向けツールではなく、開発メーカー向けのデバッグツールの一種である。そのためデバッギングステーション(略してデバステ)とも呼ばれており、日本仕様のDTL-H1000、北米DTL-H1001、ヨーロッパDTL-H1002の他にそれぞれ改良版DTL-H1100、DTL-H1101、DTL-H1102の存在が確認されている。

 その最大の特徴に、黒ステでは不可能だった、コピーしたCDを動作させることができる点が挙げられる。

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 ※ここ数年の青ステ落札歴(独自データ)


 そして“緑ステ”も青ステと同様。開発メーカー向けのデバッグツールの一種である。青ステとの違いは内部的なリビジョンで、開発メーカーには両機での動作確認が求められた。日本仕様のDTL-H1200、北米DTL-H1201、ヨーロッパDTL-H1202が存在する。

 青ステよりはやや見かけないものの、こちらもたびたび市場に流出している。

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 ここ数年の緑ステ落札歴(独自データ)


 いずれも、元々メーカー向けの高額な開発ツールであり、固有番号がふられ徹底管理されていたため、当時、流出することはあり得なかったが、2000年以降、オークションでもちょくちょく見られるようになった。

 ただし、経年劣化によって変色したものを見間違えたなら、ただの笑い話であるが、ノーマル機種を不正に改造し、ご丁寧に塗装までほどこしたものも出回っているので、痛い目を見たくないなら、そのような、きつねとたぬきの化かし合いには参加しないことをお勧めする。




<唯一のオリジナルグッズ?>

 最後に「1000万台モデル」と黒ステのオリジナルグッズについて。

 それは2011年11月にリリースされたタカラトミーのガチャガチャシリーズ「プレイステーションヒストリーコレクション1」である。前6種のうちシークレット2種が、なんと知る人ぞ知る「1000万台記念モデル」と「黒ステ」だったのだ。

ガチャガチャ SR プレイステーション ヒストリーコレクション1 全6種セット

 型番違いの本体を、フタ内部や底面デザインに至るまでリアルに再現していて、そうとう出来の良いシリーズであったが、残念ながら現在は販売されていない。


orotima-ku1.png初代プレステのことを調べていくうちに、当時、発売日に買ったときのことをだいぶ思い出してきた。もう20年も前のことなんだなあ……



参考リンク
PlayStation 10 Million Model - Midnight Blue (SCPH-7000W)
[SCPH-700x] PlayStation 10 Million Model
オタクマガジン~黒歴史の向こう側へ~
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[ 2017/07/14 13:13 ] PS・SS | コメント(1)
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開発機は一般の人には触れないのですが
PS系ではPS2からPS3まではTESTなど入れて差別化したり
任天堂だとWiiシリーズはルイージーカラーに統一したり

メーカーの特徴が出て面白いです

ちなみにswitchは市販されてるグレーよりも暗い
マットブラックで統一してるようです。
4698. [ 2017/07/20 22:52 ] [ 編集 ]
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