たった一人のファミコン少年タイトルGIF

“懐かしい”とは何か? 全ての懐古主義者へ贈るたった1つの答え


 最終編はこちら↓

“懐かしい”という感情の正体について 再考 2016年2月8日更新

<やっぱりファミコンは懐かしい・・・・・・>

 僕は毎日のようにファミコンをやってるので「ファミコンなど懐かしくとも何ともない」なんて思ってたこともあったけど、本当のことを言うと「ファミマガ」とか、昔のファミコン雑誌を読んでるとき、普通に懐かしさを感じたりするのだ。

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 ※懐かしのファミマガ記事たち

 しかも読んだ記憶がないものまで“懐かしい”と思うことがある。でもそれは、文体だったり、手描きのマップだったり、紙の質感だったり、それらからかもし出される雰囲気が、昔のことを思い出させてくれるので“懐かしい”のだろう。

 じゃあ、なぜ昔のことを思い出すと“懐かしい”のだろうか!?



<“懐かしい”の意味>

 Yahoo!辞書によると“懐かしい”とは以下のようなことらしい。

なつかし・い【懐かしい】
[形][文]なつか・し[シク]《動詞「なつ(懐)く」の形容詞化》

1 心がひかれて離れがたい。
2 かつて慣れ親しんだ人や事物を思い出して、昔にもどったようで楽しい。
3 引き寄せたいほどかわいい。いとおしい。
4 衣服などがなじんで着ごこちがよい。


 現代では1、2の意味で使われることが多いだろう。

 人間の感情はよく「喜怒哀楽」という言葉であらわされる。この辞書には“昔にもどったようで楽しい”とあったが、僕に言わせれば「哀」60%「楽」40%くらいだと思う。まあ、そんなことはいいや。
 どんな感情だって多かれ少なかれアンビバレンスなものだし、そもそも他の感情で言い表せないからこそ“懐かしい”という言葉があるのだから・・・・・・

 

<「生きること」=「死に向かうこと」>

 答えは意外なところからもたらされることになる。先日、飲み会の席で僕は、知人A、Bに問うてみた。

「懐かしいって何だろう?」

 この不思議な感情を、明確に説明してくれないか。そもそもなぜ人間はむかし住んでた場所や、使っていた物(ときにはそんな記憶がなくとも)を見ると“懐かしい”なんて思うのか。はたして犬には“懐かしい”という感情があるのだろうか?

 今考えると犬の話なんかどうでも良かったんだけど、ああだこうだ、一通り意見交換をしたあと、いつの間にか僕は「食べること」=「生きること」という話を力説していた。酔っ払っていたので、なんでそんな流れになったかは憶えてないが(笑
 それを受けて今度はAが「生きること」=「死に向かうこと」という持論を展開したのだ。

 彼に言わせれば人間は生まれながらにして死に向かっているという。

 まあ、どんな人間にも必ず「死」はやってくるのだから、そういう言い方もあるな。“人間はみんな死刑囚だ”って言葉があるくらいだし。僕は最初その程度のことしか思わなかったんだけど、ずっと黙っていたBが、突然、するどい指摘をしたのだ。

「人間が死に向かっているなら「過去へ近づく」=「死を遠ざける」じゃないの!?」



<そしてたどり着いた、たった1つの答え>

 なるほど・・・・・・

 僕はその言葉に酔いがさめたのだ。

 人間は実際に過去へ行けることはないが、思いをはせることはできるじゃないか。思いだけでも過去に近づけることはできるじゃないか。そう考えると答えはおのずと出てくる。


 つまり過去を“懐かしい”と思うことは・・・・・・
 「死」を忘れさせてくれるという安心感か!


 こう解釈すると、非常にしっくりきたのだった。

 世の中には懐かしいものが大好きなひとたちがいる。しばしば懐古主義者と呼ばれる彼らは、なぜ部屋を懐かしいもので埋め尽くしたがるのか。なぜ懐かしいものを美化したがるのか。

 それは、もしかしたら懐かしいものたちが・・・・・・
 ほんの一瞬でも“死を忘れさせてくれるから”なのかもしれません。




 コメント欄で頂いた疑問にお応えする形の最終編を更新しました↓

“懐かしい”という感情の正体について 再考 2016年2月8日更新




<補足>
 ※ 「食べること」=「生きること」 これは、生物が食物から栄養を摂取してエネルギーに変える行為=生命活動そのものではないか、という意味で言ったのだと思う。不食主義的な思想とは関係ないが、なぜこの場で僕がこの話を力説していたかは不明(笑。

 ※ 「人間は生まれながらにして死に向かっている」 Aによると女性は男性よりも死への覚悟が(いい意味で)違うため、このような考えは当てはまらないかもしれないという。

 ※ 「懐古主義者」 ひとから呼ばれるときは侮蔑の意味が込められ、自称されるときは卑下の意味が込められてることが多い言葉。個人的には好きな言葉ではない。

 ※ 「死」を忘れさせてくれるから これは実際に「死」のことを考えてるかどうか、死が近づいているかどうか、は関係ない。人間が「死」に向かっていると仮定した場合、心の奥底でこのような現象が起こっているだろうという話である。
関連記事

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とても興味深く読ませていただきました
ありがとう御座います
1179. [ 2011/12/17 12:59 ] [ 編集 ]
 俺の考えでは昔の物を見て懐かしいとか感じるのは、そのもの自体ではなくそれを見ていた(又は体験した)自分自身を思い出しているからだろう。純真で疑いもなく、親の言うことをよく聞いた時代。昔がすべて良かったわけではないが記憶が美化されて余計にそう思う。
 確かに人は死を認識し恐れる生き物であるから現実逃避的に「死を忘れさせてくれる安心感」にすがるかもしれない。しかし、10歳の子供が3歳のころの写真を見て「なつかしい」というのを見ると、たった一つの答えとは言えないかもね。
1180. [ 2011/12/17 15:40 ] [ 編集 ]
モンキウオーマーさん。書き込みありがとうございます。
対象の話ですが、それが物であろうと、自分自身であろうと、過去を思い出していることには変わりなく、そこはひとそれぞれでいいんです。今回はもう1歩踏み込んで「過去を思い出すとなぜ懐かしいか」を考えてるので。
そして、10歳のこどもが3歳のころ(略)というご指摘ですが、今回は「人間は生まれながらにして死に向かっている」と仮定してるので、1歳だろうが死に向かっています。これは(補足にもありますが)実際に「死」のことを考えてるかどうか、死が近づいているかどうか、は関係ありません。もっと心の奥底の問題だと思っています。
1181. [ 2011/12/17 16:11 ] [ 編集 ]
 オロチさん、レスありがとう。 なるほど、わかる気がします。
今日のヤフーニュースの中で復刻食品がヒットしているという報道がありました。
私もなつかしいと思う世代ですが、偉い人が言うには、「震災で精神的安定が揺らいだ消費者が、“幸福感”を再生しようとして、幼いころや青春時代に慣れ親しんだ商品によりどころを求めているのでは」らしいです。国民全体が懐古趣味におちいってるって? 今回の大震災のようにまったく予期しない死(いずれは訪れるであろう)が突然他人に降りかかる。それを映像で何度も脳に刷り込まれることによって、自分自身の死を心の奥底から現実の問題として認識したのではないでしょうか。それが今回の消費行動に反映された気がします。
1184. [ 2011/12/24 09:32 ] [ 編集 ]
すごい…!!僕もそれが答えだと思います!!
1203. [ 2012/01/21 11:35 ] [ 編集 ]
「死」を忘れさせてくれるという安心感ってのは、たぶん間違ってると思うよ。
懐古主義者が「過去へ近づく」=「死を遠ざける」だったら
何かの夢や目標に向かって努力してる人間は、「未来へ近づく」=「死に近づく」わけだから。
でも後者は、死に近づく不安で憂鬱になったりしないよ。
1205. [ 2012/01/24 02:27 ] [ 編集 ]
単純に自分にとっていい思い出で、二度と戻れないと決定付けられているから
いとおしいんだよ。
本当に嫌な思い出だったら、あまり懐かしいとか思わないし。
1206. [ 2012/01/24 02:33 ] [ 編集 ]
>>1205
なるほど。逆に考えたら、未来へ思いをはせる行為は不安でしかなくなる。「人間が生まれながらにして死に向かっている」という前提がネックのような気がしますが、まだまとめられません。ちょっと考えさせていただきます。ありがとうございました。

>>1206
過去に振り返ることが、すべて死から遠ざかることではなく、あくまでも「懐かしい」と感じる過去に振り返ることが、死から遠ざかると考えます。したがって、懐かしいと思わない嫌な過去については、今よりも死に近づいていた(貧乏だったとか、疎外されていたとか)のかもしれません。
1208. [ 2012/01/24 13:32 ] [ 編集 ]
一瞬なるほどと思うのですが、人間はいつも常日頃、死を意識している訳では無いですよね。
3321. [ 2016/01/30 16:18 ] [ 編集 ]
懐かしいと思える過去に思いを馳せることが死から遠ざかることだとするのなら、将来の自分を想像するということは自ら死に近づいていってるということですか?
3597. [ 2016/06/01 02:42 ] [ 編集 ]
こちらに再考編を貼っておきます。いちおう、それらの疑問には答えてる内容になっております。ついでに本文にリンクを貼っておきます。

“懐かしい”という感情の正体について 再考
ttp://famicoroti.blog81.fc2.com/blog-entry-1986.html

3598. [ 2016/06/01 02:51 ] [ 編集 ]
と思ったら本文の一番上にもうすでにリンク貼ってありました。もっとわかりやくしますね!
3599. [ 2016/06/01 02:53 ] [ 編集 ]
死から遠ざかる、というよりは現実逃避というような感じがします。
生きてる人は皆自身の将来に何かしら問題を抱えていて、でも過去にあった問題は今から起こることはないからその時に楽しかった事なんかのポジティブな感情だけが湧いてくる、という風に考えると過去が美化されるのも納得いくような気がしています。
懐かしさについて長年自分の中で考えてきたのですが、やはり他人の意見をうけるというのは良い刺激になりました。
こういった哲学的?なディベートが出来る場が増えるといいなぁと切に願っていたので、本当に良いブログだと思います。
長文失礼しました。
3637. [ 2016/06/27 19:04 ] [ 編集 ]
頭抱さん。コメントありがとうございます
「ポジティブな感情だけが残る」ということはあると思います。その逆で、ネガティブな感情だけが残こるってこともある。しかも死んだあと。つまり幽霊とかおばけとか。なんてのは半分冗談ですけど。
つねに逆も考えるのが僕のくせなんです。そうしないとバランスが悪い気がして。
よろしければ再考した記事もよろしくお願いします!


3641. [ 2016/06/30 10:25 ] [ 編集 ]
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